ねぇ、先生。
苦手な転校生
まだまだ夏の真っ只中なのに、別に楽しみでもない新学期は来てしまった。
クラス替えがあるわけでもないから、ただ夏休み前の生活がまた始まるだけ。変わったのは気温くらい。
「あっちー。」
「だから、やめてって。余計暑くなる。」
3年生になって二度目の席替えが夏休み前にあって、それでもまたシロが近くの席になってた。
今度は後ろじゃなくて前に。
正直少し気まずいと思ってたけど、シロは夏休みに入る前と何も変わらなかった。
何も聞いてこないし、何も言ってこない。何もなかったみたいにあたしに接してくるから戸惑う。
「転校生来るんだってな。」
「うん、男の子らしいね。」
「へー、そうなんだ。多分あの席じゃん。遠いから話しかけらんねぇな。」
始業式が終わって、中村さんが転校生を連れて来るのを待ってる。みんな心なしかソワソワして。
「とか言って、シロが一番に仲良くなったりするんだから。」
「どんなやつか見るまでは分かんないだろ?もしかしたらすっげぇ不良かも。」
「心配しなくても今どきそんなドラマみたいな話ないよ。」
この時期に転校してくるんだから、きっと本人もあまりここに来ることを望んでたわけじゃないんだと思う。