ねぇ、先生。
「俺走るの嫌いだって言ったんですけど。」
「うん、知ってるけど。でも徒競走かリレーかって言ったらリレーの方がやりがいあるよね。」
先生、あなたのペースでその人に話しかけてたらいつかキレられますよ。
だって先生とは感覚が全然違うから。
「だから…」
「こんな中途半端な時期に転校してきていきなり体育祭なんて気分が乗らないと思うけど、だからやらないってわけにはいかないでしょ。」
あたしが加地くんの立場だったら、確かに体育祭なんて気分が乗らない。
知らない人ばっかのとこに放り込まれて、いきなり高校生活最後の行事ですって言われてもね。だから何だって思うだろうし。
「友達出来るきっかけにもなるだろうし。」
教師らしいこと言ってる。
「ほら、あの仕切ってる白城くんとか。加地くんと気が合うと思うんだけど。それも関わってみないと分かんないから。」
だから、いつまでも無愛想にしてるなってことだ。楽しくないと思うなら、その状況を変える努力をしなくちゃならない。
「…あんた、副担任だっけ?」
「うん、副担任。」
「教師らしくねぇな。」
「よく言われるけど、それでも教師になれてんだからすごいよね。」