ねぇ、先生。
先生は最初からそれを見抜いてたんじゃないのかな。
「もちろん。って言いたいとこなんだけど、あたしもよく分かんないんだよね。だから一緒に覚えよ!」
「ここの生徒なのに知らねぇんだ。」
「うん、フォークダンスは3年生だけだから。今年初めてやるの。」
「何だ。じゃあみんな俺と同じじゃん」
「そうだよ。だから頑張ろう」
話してみると意外と素直で、ステップを間違えてときどき笑う。
先生とは全く違う笑顔に、少しだけ心臓がキュッとなった。でもそれは別に好きだからとかじゃない。
初めて見た笑顔に、初めて見た無邪気な部分に心臓が反応してしまっただけ。
「難しいね。」
「全然分かんねぇ。」
「ほんと、分かんない。」
ペアになってよかったのかもしれない。
先生はあれからよく加地くんと話してるし、あたしといるときもたまに加地くんのことが話題に出たりする。
加地くんのこと気に入ってるのかな、なんて思ってはいたけど、様子を見る限りほんとにそうみたい。