ねぇ、先生。
意外とあっさり承諾してくれた加地くんは、他のペアのフォークダンスをボーッと見てる。
多分覚えようとしてるんだと思う。
「加地くんさ、前の学校の体育祭でフォークダンスなかったの?」
「あったけど、適当に踊ってたし。」
「覚えてないの?」
「覚えるほど真剣にやってない。」
無気力だ。
でも多分、出来ないわけじゃないんだと思う。真剣にやれば何でも出来ちゃうタイプの人なんじゃないかな。
「咲良って白城と付き合ってんの?」
そんな突拍子もない質問が加地くんの口から自然と出てきて驚くあたしをよそに、加地くんはフォークダンスを見てる。
そんな話してたっけ?
今フォークダンスの話してたような気がするんだけど。
「付き合ってないけど、何で?」
「付き合ってるように見えたから。」
それは最もな返答。
付き合ってるように見えたから聞いてきたわけで、それ以外に理由なんてないだろって顔してる。
まだ転校してきて一週間も経ってないのに、誰と誰が仲良いとか分かってるってことだよね。