ねぇ、先生。

「付き合ってないって言ったよ。でもね、彼氏はいるだろって言われた。」

「加地くんに?」

驚いたように聞いてきた先生に、コクンと頷くと何でって顔であたしを見てくる。

そんなのあたしにも分からない。

ただ加地くんは、そういうのは何となく分かるだろって言ってた。


「…それと、先生の話もしてた。」

「何て?」

「多分先生、好きな人いるって。」

「…何それ、そんなこと言ったの?」

頷くと先生は少し考えて、何でだろ、なんて呟いてた。

多分それがバレるような行動をとった覚えもないし、そんな言動をしたわけでもないんだと思う。

ほんとに心当たりがないから。


「別に普通に話してただけなんだけどな」

「…大丈夫かな」

あたしがよっぽど不安気な顔をしてたからだと思う。先生はいつもみたいにふにゃんと笑って大丈夫だよ、と言った。

「茉央ちゃんはいつも通りにしてればいい。俺も気をつけるから。」

< 256 / 451 >

この作品をシェア

pagetop