ねぇ、先生。
「付き合ってないって言ったよ。でもね、彼氏はいるだろって言われた。」
「加地くんに?」
驚いたように聞いてきた先生に、コクンと頷くと何でって顔であたしを見てくる。
そんなのあたしにも分からない。
ただ加地くんは、そういうのは何となく分かるだろって言ってた。
「…それと、先生の話もしてた。」
「何て?」
「多分先生、好きな人いるって。」
「…何それ、そんなこと言ったの?」
頷くと先生は少し考えて、何でだろ、なんて呟いてた。
多分それがバレるような行動をとった覚えもないし、そんな言動をしたわけでもないんだと思う。
ほんとに心当たりがないから。
「別に普通に話してただけなんだけどな」
「…大丈夫かな」
あたしがよっぽど不安気な顔をしてたからだと思う。先生はいつもみたいにふにゃんと笑って大丈夫だよ、と言った。
「茉央ちゃんはいつも通りにしてればいい。俺も気をつけるから。」