ねぇ、先生。
不安は消えないけど、これ以上先生に心配かけないように頷いた。
でもそれも先生にはお見通しみたいで、少し考えた後笑って言った。
「あ、フォークダンス頑張ってね」
多分あたしが踊れないことを中村さんに聞いたんだと思う。先生はからかうようにそう言ってきた。
「先生、バカにしてるでしょ」
「んふふ、してないよ」
ムッとしたあたしの頬をキュッと摘まんで緩く引っ張る。
「練習するからいいもん。あたしのことバカにして、先生だって踊れないかもしれないのに。」
「俺、踊れたよ?」
「えっ、もう練習したの?」
「うん、3年の担当の先生たちで練習したよ。生徒が踊れて教師が踊れないとまずいでしょ。」
だから、茉央ちゃんも頑張って。なんて言った先生の顔は完全に緩んでる。
「…加地くんと練習する。」
「体育祭まで時間ないもんね。」
「踊れなかったらどうしよう…」
「それはそれで可愛いけど。」