ねぇ、先生。
「そんなの可愛くないよ。絶対笑われるもん。知らない人だって回ってくるかもしれないのに」
「俺も回ってくるかもね。」
「それは…ちょっと楽しみだけど」
先生が回ってくるのは素直に楽しみだった。だから当たり前みたいに言ってしまったけど、言った後で何だか急に恥ずかしくなる。
「顔真っ赤だ。」
それを言われて余計に赤くなる顔を隠そうと、俯いて顔を手で覆った。
「そんなに隠れないでよ。」
多分笑ってるであろう先生があたしの両手首をキュッと握る。
こんな顔見られたくない、とあたしも手に力を入れるけど、見かけによらず力が強い先生には全く叶わない。
「んふふ、可愛い。」
手を退けられて露わになったあたしの顔を見て、ふにゃんと顔を緩める。
「も…先生、見ないでっ」
「何で?可愛いのに」
「可愛くないもんっ」
先生の目にはあたしが可愛く見えてるのかもしれないけど、こんなに赤くなってしまった顔を可愛いだなんて、絶対おかしいよ。
この学校にだって、先生の周りにだって、きっとあたしより可愛い子は数え切れないくらいいるのに。