ねぇ、先生。
前から知ってたけど、梨花はやっぱり足が速くて1位を走ってる。そのままバトンは次の人に渡った。
走り終わった梨花が笑顔でこっちに手を振るから、それに手を振りかえした。
…元気だな、梨花。
朝からずっと暑いとこにいたし、動かなかったから今余計にしんどい。
シロが走ってる姿が見えるのに、やっぱり大きな声で応援は出来なかった。
それでも、走ってたらかっこいいじゃん。とか、ふざけてないシロって珍しいな。とか考えてた。
何だかんだ人気がある人だから、声援と黄色い歓声はすごい。
足だってすごく速かったし、終わった後の笑顔も女子を魅了してるんだろうな。
「アンカーにバトンが渡りました!」
アナウンスがそう言った。
見れば加地くんにバトンが渡ってて、その時点でどのチームも同じくらいだった。
どのチームのアンカーも速いけど、加地くんもそれに負けてない。
いつも無気力な加地くんが真剣に走ってる姿は当然、女子の目を惹くには十分過ぎるものだった。
だってあたしも、加地くんの姿を目で追ってしまったから。