ねぇ、先生。
「聞いてなかったんだ」
「あ、はは…すいません、ボーッとしてて…でも、意外だなー」
篠原先生は机を1つ挟んでイスに座った。
机1つ分の距離なんて、あたしには近すぎて緊張どころじゃない。
緊張を通り越して顔も見れないし、息だってしづらい。
「意外って、何が?」
「あ、いや…篠原先生、美術の先生って感じしないから…」
「そう?今日はスーツ来てるからかな。いつもはこんなキッチリした格好してないし、もっと汚いから」
「…汚いって…?」
少なくともコンビニに来てた篠原先生は汚くなんかなかったけどなぁ。
「絵の具、服とか手とか、色んなとこに付いちゃうから。」