ねぇ、先生。

手を差し出したシロは「どうぞ、姫。」なんて言ってふざけてる。

手を繋いで入場なんて高校生には少し恥ずかしいけど、相手がシロなら抵抗感もなかった。

「姫って、キザだねー。」

「ばか、改めて言うなよ照れんだろ。」

やっぱりシロはあたしにとって梨花と同じようにずっと大切な存在。

それは恋愛感情とはまた違うけど、特別だってことは確かだった。


「ね、シロ。」

「ん?」

手を繋いで入場しながら、聞いてみる。

「もう何も言わないの?」

きっと思ってることはたくさんあるんだろうけど、シロは何も言ってこないし聞いてこない。

あたしが言ってることが分かったんだろう。少し驚いた後呆れたように笑った。


「だって言っても変わらないだろ?」

ため息をついて「もう分かってるから」なんて少し俯いて言う。

「軽い気持ちじゃないってことも分かったし。それなら俺は咲良の1番の味方でいてやろうと思って。」
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