ねぇ、先生。

だけど恥ずかしいなんて思う余裕もなくて、ただただ早く終われと思ってた。

こんなことになるならフォークダンスなんてやらずに早く救護テントに行くべきだった。

ヤバいと頭では分かってるのに、流れを止めるわけにはいかなくて、次々入れ替わるペアの男の子に必死でついて行く。


「っ…」

クルリと回ったとき、何人か先の方に中村さんと篠原先生がいるのが見えた。

先生まで回ってくるかな。

もう少し、頑張ろう。


だけど曲はあたしが思っていたよりも進んでしまっていて、正直先生が回ってくるかは分からなかった。

ギリギリ回ってくるか、回ってこないか。そんなラインにいて、ドキドキっていうよりも回ってこないことを考えると集中出来ない。

フォークダンスなんてきっと、これが人生で最後だと思う。二度とやらないなら、せっかくだから先生まで回ってきて欲しいと純粋に思った。


ラストの曲ももう後半まできていて、気分が悪いことも忘れて願った。

高校最後の体育祭での思い出を作るくらい、いいでしょ?

クルリと回って、次のペアの人にお辞儀をする。顔を上げると、そこには見知った顔があった。

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