ねぇ、先生。
それを見てたあたしの手をキュッと掴む優しい手の感触に、意識が一気に引き戻される。
「回ってきたね。」
ふにゃんと嬉しそうに笑う先生。
何だかものすごく嬉しくて、あたしも同じように頬が緩んだ。
「回ってこないかと思った。」
「俺も。」
俺も、なんて言ってるけど先生からは、回ってこないかと思って焦った様子なんて全く伝わってこない。
「うそ、そんな顔してない。」
「んふふ、そう?」
そんなマイペースな先生を見てると、午前のリレーのときの先生が嘘だったみたいに思える。
だってあのときの先生はこんなにゆるゆるしてなかった。
「俺、何となく回ってくるような気がしてたから。やっぱ勘って当たるね。」
あぁ、だからか。
回ってくるって思ってたからあたしとは違って落ち着いてたんだ。