ねぇ、先生。
手から伝わってくる先生の体温が、あたしのよりも冷たくて気持ちいい。
クルリと回ったり、ステップを踏んだり、先生が相手だってだけですごく綺麗なものに感じた。
間違えてばかりだったのに、先生がペアになってからは一度も間違えてない。
何度も聴いた音楽は、もうどこで終わるかなんて覚えてしまっていて。あ、終わる。なんて思ったときに音楽は終わった。
お互いにお辞儀をして終わった。
先生が最後に回ってくるなんて、中村さんが言ってたとおりあたしはラッキーだと思う。
だってきっと一生忘れないよ。
こんなにキラキラした思い出ができて、あたしすごく嬉しいから。
「終わっちゃったね。」
少し寂しそうに言った先生が可愛くて、からかおうなんて思ってたときだった。
視界がグニャリと歪んだ。
気がつかなかったけど、体の火照りは明らかに増していた。気分の悪さも全く治ってない。
先生が回ってきたことで浮かれてはしゃいでしまったからかな。