ねぇ、先生。
「咲良さん?」
みんながいるところでの呼び方が少し寂しかったけど、そんなことを気にしてる余裕はなかった。
頭がクラクラする。立ってるのキツイな、なんて思った矢先だった。
目眩が限界に達して、立っていられなくなる。ヒザがカクンと折れた。
「咲良さん!」
先生の焦った声が聞こえて、地面に倒れそうになった体を抱きとめられた。
目を開けることも返事をすることも出来なかったけど、大丈夫だと、先生の服をキュッと掴む。
「咲良!」
そのうち中村さんの声まで聞こえてきて、周りがバタバタと慌ただしくなったのが分かった。
あぁ熱中症か。なんて今さら思っても遅くて、だんだんと意識が薄れていく。
もうダメだと思ったとき、フワリと抱き上げられる感覚があった。
それが誰なのか確認することも出来ないまま、あたしの意識はそこで途切れた。