ねぇ、先生。
先生の嫉妬
どれくらい眠ったのか分からない。
額にヒンヤリとした感触を感じて、重たい瞼をゆっくりと開けた。
「あら、起きた?」
「ん……保健室…?」
「そうよ。あなた熱中症で倒れて、篠原先生がここまで運んでくれたの。まったく、無理しすぎよ?」
保健室の先生があたしの額に冷えピタを貼ってくれて、保冷剤をいくつか渡してくれる。
重たい体をゆっくり起こすと、頭がズキズキと痛んだ。体のダルさもあまり変わってない。
「あの…運んでくれたって…」
「担架を用意するよりも自分が運んだ方が早いからって。意外と力持ちで私もビックリしたわよ。」
「先生1人で?」
「ええ、軽々と。」
あのときフワリと浮いた感覚は、先生に抱き上げられたものだったってこと。
そう思うと一気に恥ずかしくなって頬に熱が集まったけど、元々赤いからバレてないはず。
あたし重くなかったかな。意識がない人ってものすごく重いって言うじゃない。どうしよう、重いって思われてたら。
「咲良さん、先生グラウンドに戻らなきゃならないんだけど、大丈夫?」
「あ、はい。大丈夫です。」
「篠原先生が後で様子を見に来るって行ってたから、お礼言っておきなさいね」
「…はい」