ねぇ、先生。

「もうすぐ閉会式が始まるくらいだと思うから、帰るまで安静にしてなさい」

「ありがとうございます。」

あたしが倒れて30分くらいしか経ってないんだ。集計が終わって閉会式が始まるくらいか。

先生はお大事に、なんて言って保健室から出て行った。あたし以外にも怪我人はたくさんいるんだろう。

保健医がいないときっと困るから、いつまでもあたしについてるわけにはいかないんだよね。


再び横になると、クーラーで冷やされてヒンヤリとした布団が気持ちよかった。火照った体の熱を少しずつ冷ましてくれる。

…先生、焦ったかな。

いきなり倒れて、意識なくなって。きっと体はものすごく熱かったし。


……加地くんはどう思っただろう。

あたしを運ぶ先生を、今までとは違う目で見てたのかな。

…あたし今、加地くんに会いたくない。

嫌いなわけじゃない。まだ期間は短いけど、大事な友達だと思ってる。だけどどうしても会いたくなかった。

軽蔑した目で見られるような気がした。

加地くんはそんな人じゃないって思いたいのに、心のどこかでほんとはそう思ってるんじゃないかって考えてしまう。


先生、どうしたらいいかな。

加地くんにバレちゃったみたい。

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