ねぇ、先生。

会いたいな、なんて思ってると、廊下から足音が聞こえてくる。

誰かなんて分からないのに、なぜか先生が来てくれたって思った。

その思いは当たってたみたいで。


―ガラッ…


「もう大丈夫なの?」

ドアを開けてあたしを見つけた先生は、心配そうにベッドに近づいてくる。

「うん、大丈夫だよ」

「そっか、よかった……俺すげー焦ったよ。いきなり倒れるから。」

「ごめんね」


冷えピタの上からあたしの額を触って、そのままその手を頬に滑らせた。

「まだ熱いね。」

「ん、熱中症だったみたい。」

「今日暑いもんなー。茉央ちゃん以外にもいたみたいだけど、倒れたのは1人だけだったよ。」

頬に触れる少し冷たい先生の手が気持ちいい。その手に触れると、キュッと優しく握ってくれる。

ベッド傍のイスに腰掛けると、あたしの前髪をサラサラと撫でた。


「倒れるくらい辛いなら、俺に言ってくれれば良かったのに。」

救護テントにいたでしょ?なんて言ってムスッとした先生。知ってるよ、いたのは知ってる。
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