ねぇ、先生。

「だって…先生忙しそうだったし」

「そう見えた?」

「見えたよ。だって借り物競争のとき…」

先生を一番に探したのに、救護テントで生徒の手当てしてたし。

それは当たり前のことだし、仕事だから仕方ないって分かってるけど、少しだけヤダなって思ってしまった。


「借り物競争のとき?そういえば茉央ちゃん、加地くんと走ってたよね。何て書いてあったの?」

「…リレー選手。」

もちろん、先生もだよね。

あたしの言葉を聞いたあと先生は、握ってる手の力を少しだけ強めた。


「俺も、リレー選手だよ。」

困ったようにふにゃんと笑って、何で加地くんなの?と聞いてきた。

「梨花は次の走者だったし、中村さんは他の子に連れて行かれてたし。シロは…何か見つからなくて。」

ほんとは先生を一番に探したけど。

「あと思いつくのが加地くんしかいなかったし、すぐに見つかったから。」


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