ねぇ、先生。

だけど今では後悔してるよ。

「…手、繋いでた」

「あたしが遅いから、加地くんが引っ張ってくれただけだよ」

先生、嫉妬してる?

手を握ったまま、ポスンとベッドに顔を埋めてしまった。もう片方の手にはスポーツドリンクを持ってる。


「先生、布団濡れちゃうよ」

「ん?あぁ…これあげようと思って買ってきたんだ。ごめんね、オレンジジュースじゃなくて。」

冷えたスポーツドリンクのペットボトルには水滴がついてて、先生がそれを布団に乗せた拍子に濡れてしまった。

「ありがとう」

「ん、どういたしまして」


喉が渇いてたからそれを飲むと、先生はあたしをジッと見つめて言った。

「また、何かあったの?」

「え?」

「加地くんと。」

ほんとにこの人はのんびりしてるようでものすごく鋭い。あたしのことをよく見てくれてる。

少しの変化も見逃さない。

自分から言えないあたしにはそれがありがたかった。気づいてくれるから、一緒にいて心地いい。

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