ねぇ、先生。
自ら作った距離
体育祭が終わって、ずっとモヤモヤしたまま本格的に受験生になった。
志望校も決まったし、そこに受かるために必要な教科も分かった。あとは勉強すればいいだけ。
それなのに、それだけに集中出来ないわけがあった。
「咲良、今日どうする?」
「シロはどうするの?」
「俺は勉強して帰ろうと思ってる。分かんねぇとこあんなら教えるけど、咲良もそうする?」
「じゃあそうしようかな。」
シロと同じ大学ってことで、最近は一緒に勉強することが増えた。たまに梨花も一緒に。
梨花はシロと同じ学科みたいで、2人で話してるとこもよく見る。
「加地は?どうする?」
「俺も勉強して帰る。」
加地くんも同じ大学らしい。彼も、シロと梨花と同じ学部。要するに学部が違うのはあたしだけ。
加地くんとはあれからまともに話してないし、話しかけられることもない。
それが逆に気になったりもするけど、あたしのモヤモヤの原因はそれじゃない。
視線を少しズラすと、いつもみたいに生徒に囲まれる先生の姿が見えた。
以前と変わらないその光景なのに、最近それを見るとどうしてもモヤモヤしてしまう。