ねぇ、先生。

加地くんがここに来て1ヶ月が過ぎて、きっとすぐに2ヶ月目が来る。

たったそれだけなのに、もうずっと一緒にいるような気がした。

このままずっと気まずい状況が続いて卒業するのかな。もうあと5ヶ月もない。

あぁでも、大学も一緒か。


「なぁ。」


計算を解いてるフリをして色々考えてると、加地くんが久しぶりにあたしに声をかけてきた。

体がビクッと反応する。

それはただ驚いたからだけじゃなくて、少し緊張と恐怖も混ざってるような気がする。


「…なに?」

動揺を悟られないように、問題集から目を離さずに返事をすると、加地くんはやっぱり言った。

「あれ、肯定でいいんだよな。」

表情は見えないけど、多分加地くんはあたしをジッと見つめてる。

″あれ″っていうのは多分、体育祭でのあたしの肯定も否定も出来なかったあの反応のことだと思う。


「…何それ…何のこと?」

今さら加地くんにそんな誤魔化しが通用するとは思ってない。

だけどすぐに納得させられるような返答を返せるわけもなかった。

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