ねぇ、先生。
加地くんが教室を出て行って、一瞬だけシンと静まり返った。
だけどシロがそれをすぐに壊す。
「お前、ほんとに分かりやすいね。」
呆れたように笑うシロが、なぜかいつもより大人っぽく見えて。安心して涙が出そうだった。
「…何が?」
「加地に何か言われた?」
「……何でそう思うの?」
シロはいつだって気づいてくれる。
あたしが落ち込んでたら最初はただ見守ってくれるけど、どうしようもなくなったらこうしてちゃんと聞いてくれる。
…すごく、心強かった。
いてくれるだけで安心した。
「だって、咲良泣きそうだから。」
シロ、あたしどうしたらいいかな。
先生のことが大好きで離れたくないのに、最近ほんとにそれでいいのかなって思うことがあるの。
「俺には辛そうにしか見えない。」
あたしの頭をポンと撫でたシロは、少し困ったように笑った。