ねぇ、先生。

帰さなくていい。今日はずっと先生の傍にいる。だから…

だから、あたしの話を聞いて?

加地くんに告白されたときの気持ちも、揺らいでしまったってこともちゃんと全部話すから。

それでも先生が一番好きなんだって、ちゃんと言わせてよ。


「…もう外暗くなってきたから、早く帰った方がいいよ。」

「……な、んで…そんなこと言うのっ…」

早く帰った方がいい?

知ってるよ、そんなこと。

先生が本気で帰したくないって思ってるわけじゃないってことくらい、鈍感なあたしでも分かってる。


「分かってよ。」

少し躊躇ったように黙った後、顔を上げてあたしをジッと見つめた。

何を言うの?

先生、そんなにあたしといたくない?

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