ねぇ、先生。
「俺、茉央ちゃんのことすげー大事なの」
突然先生の口から発せられた言葉は、あたしを喜ばせるには十分だった。
鈍感でごめんね。
あたし、先生が考えてることが分からないことの方が多いから、きっとめんどくさいよね。
「さっきみたいなこと言われると、ほんとに抑え効かなくなる。」
余裕のなさそうな顔が、声が、何だか無性に嬉しかった。
先生は立ち上がると、あたしの手をキュッと掴んで引っ張った。その反動で、先生の胸に飛び込む。
背中に回された手が暖かくて、あたしをすっぽり包んでくれる先生をすごく愛おしいと思った。
「…大事にしたいんだ。勢いでそんなことしたくない。でも俺、やっぱり男だから…そういう状態になって我慢出来る自信ないんだよね。」
抱きしめられたままだから、先生の心臓の音が微かに聞こえてきた。
しっかり波打ってるそれは、いつもより少しだけ早く動いてる気がした。
…先生、緊張してる?
「…茉央ちゃん?」
何も言わないあたしに、先生は不安気な様子で声をかけた。