ねぇ、先生。
「だって…キスくらいなら…」
自分で言ってて恥ずかしくなって、慌てて口を閉ざした。もう遅いけど。
「いいの?」
そう言った先生は、いつもとは違う男の人の顔をしていた。すごく色っぽい、大人の男の人。
「多分、茉央ちゃんが思ってるようなキスじゃないけどね。」
「え?」
「触れるだけの可愛いキスじゃ済まないよ。それでもいいなら、俺は喜んでするけど…どうする?」
こんな先生知らない。
あたしが知ってる先生はこんな顔しないもん。こんな……教師らしくない、男の部分を見せたりしないでしょ?
「なーんて、冗談だけどね。」
顔を真っ赤にして黙ってるあたしを見て、先生はまたギュッと抱きしめ直した。
先生の胸に顔が埋まって、洗剤のいい匂いが胸いっぱいに集まる。
あたしもギューっと抱きしめ返した。