ねぇ、先生。
飲み物が机に置かれて、蓮は前みたいにそれをどんどん飲んでいく。
勘弁してくれよ。酒弱いくせにそんなに飲むからこの前だって俺が家まで送って行ったのに。
「蓮、何が困るって?」
答えなかった蓮にもう一度聞くと、飲みながら俺と目を合わせた。
グラスを机に置くと、困ったように笑った蓮。下がった眉毛がいつもの笑顔と違う。
茉央ちゃんが絡むとどうしてこうも調子が狂うんだ。俺がこいつに出会って、そんなことなかったのに。
「噂が、あるみたいで」
「噂?」
聞き返すと、蓮はコクンと頷いた。
「多分茉央ちゃんはまだ知らない」
そう言った蓮の表情で、何となくその″噂″が茉央ちゃん絡みだってことが分かってしまった。
「…それってどんな噂なんだよ?」
自分のことじゃないのに心臓が少し早く動いてる気がする。
…お前がそんな不安そうな顔するから。