ねぇ、先生。
最悪な噂
好奇心旺盛な今どきの高校生にとって、噂っていうのはとっても身近な暇つぶしなんだと思う。
現にあたしもそうだ。
噂話を聞くのは少し楽しいし、それが嘘だとか本当だとかはあまり関係なかったりする。重要なのはそこじゃない。
「咲良、やべーな。」
前に座ってるシロがわざわざ振り返ってまでそう言ったのにはちゃんとした理由がある。
「蓮くんと会ってる生徒って誰なんだろうね!」
この際もう先生のことを蓮くんと呼ぶことは気にしない。だけど会話の内容を聞き逃すことはできない。
「美術部の活動がない日っていうのがあやしいよね!禁断の恋ってやつ?」
それは紛れもなくあたしのことだった。
「…咲良だってバレてねぇのがせめてもの救いっつーか…これからどうすんの?しばらくあそこには近づけないだろ?」
「…うん」
どうやら噂は少し前からジワジワと広まっていたらしい。今じゃ知らない生徒の方が少ないって。
この噂のことを知ってから先生と2人で話してないし、美術準備室にも一度も行けてない。
「多分、先生達の耳にも入ってるだろ」
それが、一番問題なんだ。