ねぇ、先生。
『分かってたけど、でもやっぱ実際話せなくなると寂しいね。』
「…うん、寂しい」
美術の授業をとっておけばよかった。あぁでも、3年生は美術ないんだっけ?
去年はあったのに、どうしてないんだろう。あったら少しは先生と話せたかもしれないのに。
『…ちゃんと考えるから』
「え?」
『これからのこと』
「…うん」
『噂が落ち着くまでしばらく2人になれないけど、たまに電話するから』
うん、と頷こうとしたとき、電話の向こうから先生のくしゃみが聞こえてきた。
そういえば、お風呂に入ってたって言ってたよね。上がったばかりだったのかな。
「先生、風邪引くよ」
『え?』
「お風呂上がったばかりなんでしょ?」
『あー、うん。バレた?』
「もしかして電話鳴ってるから急いで出てきたの?ちゃんと体拭いた?」
想像できたのは、電話に気づいて急いで出てきた濡れたままの先生。もしかしたら服だってちゃんと着てないかもしれない。