ねぇ、先生。
加地くん side
「蓮くん、別れる気ないの?」
わざわざ放課後、蓮くんがここに1人でいることを確認して来た。
我ながら性格が悪いと思う。
こんなやり方は卑怯だし、咲良が喜ぶわけないって分かってるけど、これは俺にとってチャンスだ。
こんなタイミングで、しかもこんな状況になってて。奪えるなら今しかないって思ったんだ。
「…何、急に」
噂が広まってしばらくして、咲良と蓮くんがここで会うことをやめたことに気がついた。
俺にとっては好都合。
「ないの?別れる気。」
いつもはのんびりして緩い雰囲気を纏ってるけど、今咲良の話をして明らかにいつもとは違うって気づいた。
「ないよ。」
多分蓮くんは俺が咲良に言ったことを知ってるんだろう。
だから今俺がここに来てこんなことを言ってる理由が分かってるはず。