ねぇ、先生。

「ほんと、茉央に甘いなー」

「んふふ、違うよ。あたしだけじゃなくてシロにも甘いんだから」

「3年目ともなるとやっぱり可愛く見えてくるもんなのね」

呆れたように笑った梨花。そういえば、なんて言いながら話し始めた。


「加地くんとはどうなったの?」

俺を選んで、と言われたことは梨花に話してた。だからきっとその後のことだ。

「どうなったって……そのことには触れてないし、加地くんも今まで通りだから何も変わってないよ」

「でも、絶対告白だよね」

「そうなのかなー…」

あれが告白だったとして、だったらどうして加地くんはあれから何も言ってこないんだろう。

あたしの返事は決まってるけど、そのままにしておくのも何だか申し訳なかったし、気まずかった。


「加地くんはいい人だと思うけど、茉央が好きなのは先生だもんね」

加地くんもそれは十分過ぎるくらい分かってると思うんだけどな。

「……ねぇ、茉央」

「何?」

呼ばれて梨花を見ると、彼女は前を向いたままポツリと言った。

「…もしも篠原先生といることが辛くなったら、あたしは加地くんを選んでもいいと思う」
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