ねぇ、先生。
何かを思いついたのか、いつもみたいにふにゃんと笑った先生はイタズラを思いついた子供みたいだった。
「見つからないように来てよ」
「え?」
「誰にも見つからないように、コッソリここまで来てよ」
可愛く笑う先生は、それが悪いことだと思っているようには見えなかった。
「ダメかな?」
ダメじゃない。
そんなのを断れるほどあたしは大人じゃないし、そんなに軽い気持ちでもない。
あたしが思っているよりもずっと…もっともっと気持ちは大きかった。
「…また、来ます」
もう引き返せない。
やめるなら今だった。
…そのチャンスを、自ら捨てた。