ねぇ、先生。
少し迷ってノックをすると、中から「はい」と聞こえてきた。
ドアを開けると、いつも座ってたところでパソコンと向かい合ってる先生がいた。
「…先生」
あたしが来たって気づいたくせに、パソコンから目を離さない。仕事をしてるのは分かるけど、少しくらいあたしを見てほしかった。
「何?」
「何って…」
「ダメじゃん。今ここに来て誰かに見られたら噂じゃなくなっちゃうでしょ」
カタカタと文字を打ちながらそう言った先生は、やっぱりあたしを見てくれない。
「だって…」
困るのは先生だって分かってる。
あたしがよくても先生がダメなんだ。
…だけど、やっぱり先生があんな風に一方的に終わりを告げるなんて思えなくて。結局ここに来てこうして先生を困らせてしまってる。
「先生、あたしね…」
「俺、言ったよね」
あたしの言葉を遮って言った。