ねぇ、先生。
「別れようって」
ここに来て初めて先生があたしを見た。
いつもみたいにふにゃんとした笑顔を一度も見せてくれない。
それがほんとだよって…本気で言ってるんだよって言ってるみたいで怖かった。
「…先生、本気で言ってるの…?」
信じたくなくて、嘘だっていつもみたいに笑ってほしくて。スカートをギュッと握りしめた。
だって確かに先生はあたしを好きになってくれた。それはちゃんと分かってる。
あたしを見つめる瞳も触れる手も話す声も、ちゃんと好きだよって言ってくれてるみたいだったの。
「うん、本気だよ」
「…っ、なんで…?」
気を抜くと涙が溢れそうだった。
「あたしのこと…っ、もう好きじゃなくなっちゃった…?」
お願いだから、違うって言って。
そんなことないよって、言って。
「ここにはもう来ないでって言ったよね」
あたしの質問には答えないくせに、笑顔でそんな風に言うなんてズルい。