ねぇ、先生。
「ごめん」
「…何で謝るんだよ」
蓮くんが謝ることはない。
「怒って当然だと思うから」
「え?」
蓮くんは困ったように笑った後、目元を手で覆って椅子に座った。
「茉央ちゃんも白城くんも、怒って当然だよ。それが普通なんだから」
…蓮くん、咲良は怒ってないよ。
ただ悲しかったんだと思う。
「でもさ、悪いけど…」
目元を覆っていた手をどけて、また悲しそうに蓮くんは言った。
「俺はこうでしか、茉央ちゃんのことを守れないから。」
…分かってる。
分かってるよ、蓮くんが咲良のことを守りたくてこうしたってことは。
だけどさ、他に方法はなかった?
咲良も蓮くんも納得できる、もっといい方法はなかったのかよ。