ねぇ、先生。
戻らないもの
一度壊れてしまったものを直すには、やっぱりあたし1人だけじゃダメみたい。
…直すどころか、もう元の形に戻ることすら出来なかった。
「咲良、聞いてる?」
「え…あ、ごめん」
「加地、お前も」
「ん…ごめん、聞いてなかった」
いつも通りシロと加地くんと梨花と4人で勉強をしてるところだったけど、たまにこうして考えてしまうことがあった。
それはなぜか加地くんも同じようで、時々ボーッとしてたりする。
「…2人とも集中してよ」
梨花は呆れ顔であたしの頬をツンッとつついた。彼女なりの気遣いだろう。
先生とのことを梨花に話すと、彼女は「そっか…」と一言言ったっきり何も言わなかった。
それからは何も聞いてこない。
それでも分かってくれてる気がして、やっぱり一緒にいて心地いいと改めて思う。
「ほんと、大丈夫かよ」
「ん…大丈夫」