ねぇ、先生。
あれから先生はあたしと目を合わせることすらしなくなった。
もちろん、先生から話しかけてくることもなければ、関わろうとすることもない。
…あたしのことなんて忘れたみたいに。
姿を見るたびに涙が出そうになった。
シロはそのたびに「もう忘れろ」と言って、髪が乱れるくらいグシャグシャと頭を撫でた。
一度言われたことがある。
″もっといいやつがいるよ″って。
それを言うシロの顔はなぜか悲しそうで、そんな顔をするなら何で無理して言ったんだろう。なんて思ったのを覚えてる。
先生との関係が終わってまだ少ししか経ってないけど、シロはあたしに言い聞かせるように何度も何度も「忘れろ」と言ってきた。
「あー…俺も集中力切れたわ」
シロがイスの背もたれに寄りかかって伸びをした。ギシッと音を立ててイスが軋む。
「あたしも。飲み物でも買ってこようかな。何かいる?」
「あ、俺も行く」
梨花が立ち上がってすぐにシロも立ち上がって、2人してあたしと加地くんに何がいるか聞いてくる。