ねぇ、先生。
「寂しそうって言ったのは咲良さんだよ」
「…先生って子供みたい」
美術準備室はいつもと同じ絵の具の匂い。
篠原先生もいつもと同じ、チノパンにもシャツにもカーディガンにも絵の具を付けて絵を描いてる。
「俺咲良さんより7歳も年上だよ?」
「見えない」
「失礼だなー」
なんて言いながらクスクス笑ってる。
こういうところは、確かにあたしよりも年上で、余裕があるって感じ。
…何か悔しい。
「あ、そういえばさ、もうすぐ文化祭だよね。クラス委員は忙しいんじゃない?」
もうそんなに時間が経ったのか。
こんな風に当たり前にここに通っている内に、先生がここに来てもう一ヶ月が経とうとしていた。
「そうですね。でも、シロがそういうの好きだから、任せちゃいます」
「…シロって…あ、白城くんだっけ?」