ねぇ、先生。
「じゃああたしオレンジジュース」
「俺、カフェオレ」
無意識に加地くんを見た。
それは多分、加地くんが頼んだのが先生と同じカフェオレだったから。
あ、一緒だ。なんて思ってしまった。
「ちょっと休憩ね」
梨花はそう言うと、シロと一緒に教室を出て行ってしまった。
加地くんと2人きりになっても、以前ほど気まずくはない。そう思ってるのはあたしだけかもしれないけど。
何ていうか、あれからずっと気持ちが冷めてしまってて、加地くんのことを考える余裕がなかった。
だってやっぱりあたしは気がつくといつでも先生のことを考えてしまうから。
いくら加地くんがあたしのことを好きでも、それに応えることはきっとずっと出来ないから。
「…蓮くんと別れて、どれくらい?」
静かな教室内に、ポツリと加地くんの声が響いた。突然のことに驚く。
加地くんといたら、どうしてか分からないけどいつも先生の話をしてる気がする。
「……一週間ちょっとかな」
たった、それだけ。
こんなの振られたときに比べればほんの一瞬の時間だもん。
「そ…、まだ、好き?」