ねぇ、先生。
「実際に起こったんだ。またそういう奇跡が起きてもおかしくない。」
ほんとに…
「少しだけでいいから、俺にもチャンスがほしい。」
やめて、加地くん。
―ガラッ…
「茉央、オレンジジュース売り切れちゃってたからカフェオレにしたんだけど、いい?あたしのレモンティー飲む?」
2本のジュースを手にした梨花とシロが戻って来て、あたしと加地くんにそれを渡した。
…オレンジジュース、なかったんだ。
「…茉央?」
「咲良、どうした?」
ジュースを受け取らないあたしを見て、2人は心配そうな顔でジッと見つめてきた。
「…ううん、何でもない。カフェオレでいいよ、大丈夫。」
先生がいつも飲んでたもの。
一口飲むと、思っていたよりも甘くて、胸がギュッと締め付けられた。
あぁ、ほんとに甘党だったんだ。
なんて、やっぱり何をしても先生のことしか考えられないんだから。
…ほんとに、嫌になる。