ねぇ、先生。
「加地、飲まねーの?」
シロから受け取ったカフェオレを机に置いたまま手をつけない加地くん。
「これ、前飲んだとき甘すぎて気分悪くなったんだった。」
「は?お前、自分で言ったくせに」
違う。
やっぱり、違う。
比べたくないのに、こんな些細なことでさえそんな風に思ってしまう。
だって先生は、この甘すぎるカフェオレを好んで飲んでたんだもん。
「…茉央、気分悪い?保健室行く?」
「…ん、行ってくる」
「あたしも一緒に行くよ」
加地くんといると辛い。
一緒にいるとどうしてか分からないけど先生のことばかり頭に浮かんでくるから。
「行こ、茉央」
手を引かれて梨花について行く。
教室を出ると、涙がポタリと落ちた。
…梨花が連れ出してくれてよかった。
どうしてか分からないけど、加地くんには泣いてるところなんて見られたくない。