ねぇ、先生。
「…茉央、無理にとは言わないからさ…少しだけ、加地くんのことも見てみなよ」
シロも梨花も変だ。
だって2人はいつだってあたしの気持ちを最優先してくれて、こんな風に考えを強く押してきたりしない。
…無理に先生のことを諦めさせようとしてるような気がした。
2人はそんなことしないって思いたいけど、最近シロも梨花も様子がおかしいんだもん。
「…何で、そんなに先生を諦めさせようとするの?梨花は、あたしがずっと先生のこと好きだったこと知ってるのに」
相手が先生でも関係ないって背中を押してくれたのは梨花だったでしょ?
だからあたし諦めずに頑張れたんだよ。
「…何か、理由があるの…?」
梨花は首を横に振って
「ただ、茉央に幸せになってほしいだけ」
悲しそうな顔でそう言った。
だから何も言えなくて、俯いて隣を歩くことしか出来なかった。
保健室か…
そうだ。あそこには美人で優しい保健医がいて。ああいう人が先生には似合うんだって思ったんだよね。
…そんな場所に今からいくなんて、自分の首を絞めてるだけなのに。
それでも立ち止まることなんて出来なくて、保健室まで来てしまった。