ねぇ、先生。
「っ…も、やだ……っ」
きっと、時間が戻ったって同じことを繰り返してしまう。何度だってこうして後悔するんだろう。
壁にもたれて座り込むと、余計に涙が溢れてきて止まらなくなった。
カーディガンに目を押し当てると、ジワジワと冷たくなっていくのが分かる。
すぐに泣くくせに、先生の前では泣けなかった。弱いから、泣くことすら出来なかった。
素直に泣ける強さがほしかった。
こんな暗い場所で1人で泣いたって何も変わらないって分かってるのに、自力でここから動くことが出来ない気がした。
しばらくそうしてると、廊下を踏むキュッという音が聞こえてきた。
自力では動けなかったけど、いざ人が来るとなると少し焦って。気づかれなければいいと思って、体を小さく抱きしめた。
だけどやっぱり気づいたみたいで、足音は近づいてきてた。
そしてあたしの前まで来ると、ピタリと止まった。音であたしと同じように座ったのが分かった。
「…風邪引くぞ」