ねぇ、先生。
「手放さずにどうにかする方法が絶対にあるって思った。卒業するまで別れるとか、話さないとか。」
俺が聞く前に蓮は話し始めた。
どうにかしてやりたかった。
ずっと見てきたからこそ、蓮がこんな結果を望んでるわけないって分かってる。
1人でどうにも出来ないなら、俺がいくらでも手を貸してやるのに。
「そうするつもりだった。でも…」
「…また、なんか言われたわけ?」
「すげー自信満々にいろいろ言われて、自信がなくなった。」
きっと前に聞いた茉央ちゃんのことが好きな男子生徒だろう。
とられそうで怖いって、前に聞いた。
蓮、茉央ちゃんに限ってそんなことあるわけないって。
「確かに上手く隠せるかって言われたら、バレない自信もなかった。でも、そのときは教師辞めてもいいって思ってたんだ、俺」
きっと何もかも茉央ちゃんには伝えてない。何も知らないままなんだ。
何で、1人で背負いこむんだよ。
「やっぱり甘いね、俺。それで茉央ちゃんが傷つかないわけないのに」
だから、それを言えよ。
茉央ちゃんが聞きたいのはそれじゃん。
それはきっとお前1人じゃなくて、茉央ちゃんと2人で解決しなきゃならないことだろ。