ねぇ、先生。
3年も通ったこの場所に来なくなるってことは、要するにいつも会えてた人たちにも会えなくなるってこと。
きっと何年後かに開く同窓会でも、全員が揃うなんてことはないんだろう。
…会いたい人にも、会いたくない人にも、そこで別れを告げるってことだ。
「なぁ、咲良」
「なに?」
中村さんのところに行った加地くんを待ってるところだった。遅いな、なんて思いながら手をこすり合わせる。
もう、冬だ。
3年になってからは時間が経つのがすごく早かった。あっという間に行事が終わっていって、受験生になった。
「もういいの?」
「…何が?」
それはきっと、あたしの人生に一瞬でも先生が絡んだから。だからあっという間に感じたんだ。
幸せだった時間も、辛かった時間も先生が関わってるだけであっという間だった。
それは多分、今も変わってない。
「蓮くんのこと。」
だからこうして名前が出ると、心臓が前みたいにドキドキ高鳴る。
あれから加地くんを見ようとあたしなりに頑張ってるつもりだった。
「…だって、あんな噂がたってるんだよ?あたしなんてもう眼中にないってことじゃん…」