ねぇ、先生。
「シロ、ありがとね」
「何だよ急にー」
「だって、いつでもあたしの心配してくれるでしょ?」
加地くんが体育準備室から出て来るのが見えて、立ち上がる。シロも同じように立ち上がった。
「何それ、俺咲良の親じゃないから」
「んふふ、お父さんみたいだよ」
「やめろ、こんな娘いらん」
加地くんもこっちに気づいて、少し急いであたしたちの方に歩いてくる。
「何でよ、可愛い娘でしょ?」
「こんな危なっかしい娘やだよ」
ふっと笑って頭をポンと撫でたシロは加地くんに「遅せーよ」なんて言いながら肩をボスッと殴ってた。
「凍え死ぬわ」
「お前はどんな場所にいても絶対死なねーから心配すんな。」
「お前ね、俺のこと何だと思ってんだ」
こうやってくだらないことで笑いあえる今がすごく好きだから、これを壊すようなことはしないよ。
…たとえそれが、自分の気持ちと全く違う方向でも。