ねぇ、先生。

「そういえば、お前1人でここまで来たわけ?白城と高橋と加地は?」

「1人だよ。さすがに試験終わったばっかでここに来ないでしょ」

「お前来てんじゃん」

「だってあたしは…ここに来たら落ち着くし…あと少ししか学校来ないんだよ?なんかちょっと寂しいじゃん」

みんなで同じ学校に行けたらどんなにいいか、考えても絶対にそうはならないけど、時々思ってしまう。

それぞれ別の道に進むのは当然で、きっとこうやって会わなくなる人が増えていくんだ。


「卒業しても来ればいいじゃん」

「いいの?来ても」

「ダメってことはないと思うけど。」

「でも中村さんあたしがそんなに頻繁に来たら嫌でしょ?」

「今さら何言ってんだ。嫌だったら今だって追い返してるよ」

中村さんはいつだってこうしてあたしが欲しい言葉をくれる。

だから甘えて何度だってここに来てしまう。相談すると絶対にバカにしたりしないし、ちゃんと聞いてくれる。


「今日も話したいことがあるからここに来たんだろ?」

「…うん」

先生のこと、中村さんに話してよかった。

中村さんがいなかったらきっと、ずっと苦しいままだったから。

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