ねぇ、先生。
来るな、なんて言わないで。
絵が完成するまで。
そのあとなんて望まないから、それまではここで先生を独り占めにしたい。
「…咲良さんがいいなら、これからも来てほしいな」
ふにゃんと笑った。
だけど、どこか困ってるようにも見えた。
「…はい、絵が完成するまでは、ちゃんと来ますよ」
…絵が、完成するまで。
あとどれくらいかかるのか分からないけど、きっと夏前には終わる。
夏が終われば、きっと3年生は受験モードに突入するだろう。もちろんあたしも。
…高校生活の最後の思い出。
絶対に叶うことはないけど、先生を好きになってよかったと思いたい。
一方的な想いであることは間違いないけど、高校生なんだから、そんな思い出があっても悪くないんじゃないかな。