ねぇ、先生。
「はー、やっぱり中村さんも大学にいてほしいなー」
「無茶言うな」
なんて言いながらも、ノートパソコンを見つめる表情が心なしか綻んでるような気がする。
「咲良」
「なに?」
「卒業式の日、最後に篠原先生と話して帰れよ。」
まるで当たり前みたいに言うもんだから、一瞬何のことを言ってるのか分からなかった。
「…何で?」
先生にはもう、話しかけらんない。
「絶対後悔するから」
それなのに中村さんは、きっとまた強引にでもそうさせるんだろうな。
「お前が加地を選ぶって言うなら、そうするべきだと思う」
話したいって言って、先生はあたしと話すために時間を作ってくれるかな。
もう美術準備室には来ないでって言われたのに、また先生が嫌がることを自分からしろってこと?
…また嫌われろって?