ねぇ、先生。

「はー、やっぱり中村さんも大学にいてほしいなー」

「無茶言うな」

なんて言いながらも、ノートパソコンを見つめる表情が心なしか綻んでるような気がする。

「咲良」

「なに?」

「卒業式の日、最後に篠原先生と話して帰れよ。」

まるで当たり前みたいに言うもんだから、一瞬何のことを言ってるのか分からなかった。


「…何で?」

先生にはもう、話しかけらんない。

「絶対後悔するから」

それなのに中村さんは、きっとまた強引にでもそうさせるんだろうな。

「お前が加地を選ぶって言うなら、そうするべきだと思う」

話したいって言って、先生はあたしと話すために時間を作ってくれるかな。

もう美術準備室には来ないでって言われたのに、また先生が嫌がることを自分からしろってこと?

…また嫌われろって?
< 423 / 451 >

この作品をシェア

pagetop