ねぇ、先生。
「…大丈夫だよ」
加地くんの言葉に精一杯頷いて、改めて自分に言い聞かせる。
加地くんに嘘を付かないためにも、笑顔で終わらせようって。
「ちゃんと戻るから、待ってて」
先生がいない場所ではこんな風に思えても、いざ会うとそんなものも崩れちゃうんだろうな。
それが分かってるから、怖い。
もしかしたら加地くんを傷つけてしまうかもしれないって。
そんな道を自ら選んでしまいそうで。
「…分かった、待ってる」
だけど、そんなことを言ったら加地くんは不安になるから。
大丈夫だよって。心配いらないからって。
あたしが道を間違えないように、待っててもらえるように。
…この気持ちは、絶対に加地くんには言わないようにするから。