ねぇ、先生。

加地くんの用事ってなんだろう。

あたしが先生と会うことを知っておきながら、それを気にせずに他のところに行くような人じゃない。

きっと今だってそれを気にしてるし、不安だと思う。


「あたしも、行けそうだったら行くね」

「うん、分かった。じゃあ白城くん一緒に行こっか」

朝からドキドキしていた心臓は、時間が近づくにつれてその大きさを増していた。

…ほんとは、今日が来るまでずっとドキドキしてたような気がする。


「じゃあ、俺ら行くわ」

「うん、またね」

そう言ってシロと梨花に手を振ると、2人は教室を出て行った。

卒業式が終わってしばらく生徒達は写真を撮ったり話をしたりしてたけど、それももう少なくなってきた。

徐々に人数が減って、静かになっていく。


「…加地くん、用事があるんじゃないの?」

あたしの前の席に座って窓の外を眺めてる加地くんにそう言うと、ため息をついてあたしを見た。
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